それでは、アメリカ・ヨーロッパはどうなのか?
南米のケースは、当方もコネがないので把握していません。
ただ、アメリカ・ヨーロッパのケースについて、まずちょっと言及します。
覚えておいていただきたいのは、アメリカまたはヨーロッパの大きな国では、
すでに「日本語教師養成所」が存在していることです。ここに通うのはどんな方々なのか。
それは、駐在員の奥様たち、そしてその国で結婚されている日本人の奥様たちです。
そして、養成所が「経験を積ませてあげよう」として(どこも同じですね…)、タダもしくは安価で卒業生を使う。
よって、就労としての日本語教師は、都市部では基本的に飽和状態です。
個人的に小生が心配になるのは、こうした現地の養成所に通う人の中には
本当にこれからの現地での生活のために、と思って
通う方もいらっしゃると思うんですよ。
駐在員妻の方々や、生活に余裕がある現地の奥様でしたら、
「何かを学ぼう」というモチベーションで、やっていけますが、
「本気で現地で生活できるだけの仕事が欲しい」というお考えの方は、
まず、よくお考えになった上で決断されるべきです。
更に、欧米での日本語ブームは、もうすでに終わっています。
極東の小さな国でしか使われない言葉を習うメリットがない。
不況のあおりで、日本の外資系も減少傾向にあるし、そもそも日本の外資系では英語を使っている。
クールジャパン好きの人たちが目指す日本語レベルも、
そんなに高いわけではないし、
高みを目指す人自体が少ない。そこそこわかればいいと思っている。
あと、日本であっても日本語非常勤講師は「週に●回」「週に●コマ」という扱いです。
これは結局、欧米であっても同じなんですね。
海外であれ国内であれ、いまや日本語教師は、永遠に「週に●コマ」の職業なんです。
これは何も、日本語教師だけではない。
スワヒリ語教師であろうが、マレー語教師であろうが、マイナー言語の状況は同じ。
メジャー言語の英語教師でさえも、厳しいそうです。
もちろん常勤は存在しますが、薄給ですし、現地の人と結婚している方がほとんど。
日本と同じように、旦那様というセーフティネットがあって、成り立っている。
欧米の田舎のショッピングモールに行くと、
「カルチャー教室」みたいなものが存在します。
日本でもイーオンなどがやっていますよね、あれと同じです。
英語教室、編み物、書道、といった習い事の中に、「日本語」もあったりします。
講師は日本人。それでも週に1回程度の仕事。
生活をやっていく糧には、ほど遠い(元同僚が欧州の地方都市で、
週に1度、ショッピングモールで教えています)。
また、図書館や情報誌などで「日本語教えます」と自分で売り込み、
個人的にレッスンをするという人は、大変多いです。
「海外の大学で教える」となると、ちょっと違ってきます。
以前は、「修士号さえあれば、引く手あまた」と噂されていましたが、
海外しかも先進国の大学での日本語教師も既に飽和状態に近いと言えるでしょう。
以前にも書きましたが、日本語教育そのものを専門としている人を使うよりも、
「日本史」や「日本文学」を専門とする人を講師として呼んでおいて、
片手間で日本語の講義もしてもらう、という方が、大学にとってもお得なのです。
また、博士課程に留学してきた日本人学生に、
アルバイトのような形態で日本語の授業をさせることもあるようです。
ただ、希望がないわけではありません。
修士以上の学位をお持ちの日本語教師の方でしたら、
研究者用求人サイトに、本当にたまにですが、
海外大学での求人が出ています。
参考:JIREC-IN (研究者用求人サイト)
https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop
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